千代田区教育会国語部長 渡辺 裕之(千代田区立和泉小学校校長) |
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■はじめに 今年度は、思いもよらぬコロナ禍により、臨時休校でのスタートとなり、学校歯科医の先生方におかれましては、歯科健診の延期や感染リスクの回避など様々なご配慮をいただいていることとお察しいたします。また、本事業を主催いただいている東京都学校歯科医会の皆様におかれましては、学校関係の様々な取組が中止となる中、本事業の趣旨を踏まえ継続実施の判断をなされたことに、学校現場を預かるものとして大変ありがたく思っております。 一方、毎年、各学校で行われている保健指導への影響は計り知れず、保健・健康委員会などでの活動・取組も制限がかかっているとの報告があがっております。したがってこの「歯の作文」事業についても、例年に比べて少ない応募となりました。ただ、この状況下であっても本事業に賛同し、児童生徒への働きかけを継続していただきました養護の先生、ご担当の先生方がいらっしゃることは大変ありがたいことです。この場をお借りして厚くお礼申し上げます。 |
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■講評 毎回のことですが、子どもたちの作文には一人一人の物語があり、読み進める中でついつい引き込まれ、自らの歯の健康状態にも思いを寄せつつ、鏡に向かわねばと考えている自分に気づくこともしばしばありました。 今回、応募総数が少なかったものの、少数精鋭の作品ぞろいで難しい審査を余儀なくされました。また、「歯の作文」を臨時休校中の家庭学習の課題としたことが影響してか、同じ学校からの応募が集中していたことにより、当該の学校の保健指導の内容が類似していることや、担当する先生方の作文指導の考え方が影響したのか、特徴が見出しにくかったのもその要因です。 そんな中、例年どおり、自らの幼少期の思い出や高齢の家族とのやりとり、むし歯や矯正の経験など様々な独自のエピソードに胸を打たれましたが、今回、小中学校それぞれに特徴的であったのが、新型コロナウィルスを関連づけて展開する作品が多く見られたということです。口からのウィルス感染予防との関係から、口腔内のケアの重要性を訴えるなど、今までにない主張も見られ、関心をもって読んでいただけるものと思います。一方、矯正に対する諸外国との考え方の違いとともに、文化比較という視点を踏まえて論じた作品は目新しく、大変興味深く読ませてもらい印象に残っています。 来年度に向けて、ご指導にあたる小中学校の先生方へのお願いです。応募作品の字数(原稿用紙の枚数)に規定はないはずですが、提出にあたり枚数の制限をして仕上げることを条件としていることがあるとすると、せっかくの終末のまとめに十分なスペースが残されないために、思いを伝えきれないようなことになるかもしれません。逆に書きたい思いが多岐にわたり、知らず知らずのうちに字数が増えてしまうような作文も焦点がぼけてしまいもったいないです。しっかりと、全体のテーマを一つ定め、取材したことの中から論の展開に必要なことを精査して組み込み、自分の主張が伝わりやすい構成で作品を仕上げるようご指導いただければ幸いです。 |
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■小学校の部 自分の歯で食べる 堀内 翼さん スポーツは歯が命 岩井 琢真さん 君達はなぜ歯をみがくのか 武藤 海さん 祖母の歯 酒井 徹平さん |
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■中学校の部 歯科矯正の普及 藤崎 紗叶さん 歯の健康について 遠藤 そらさん 歯があるって幸せなんだ 谷口 夏規さん 「健康への第一歩」籏野 真友香さん |
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