令和2年度「歯の作文」最優秀作品

2021年02月11日
中央区立日本橋小学校 6年
いまい ゆうか
今井 優花
題名『口腔ケアは命を守るケア』

調布市立第五中学校 2年
たかばやし かりん
高林 花凜
題名『むし歯と感染症』

 

令和2年度「歯の作文」小学校最優秀作文

口腔ケアは命を守るケア
中央区立日本橋小学校
6年 今井 優花
 
 この数ヶ月、毎日新型コロナウイルスのニュースを見聞きする。報道を通じて新型肺炎についても学び、肺炎の恐ろしさを知った。そして肺炎の中には誤嚥性肺炎という肺炎があることを思い出した。
曾祖母が入院していた時、介護士さんが指にガーゼを巻いて口の中を丁寧にきれいにしてくれていた。その時、誤嚥性肺炎を防ぐために口腔内のケアはとても大切なのだと祖父が教えてくれた。
誤嚥性肺炎について調べるうちに、阪神淡路大震災での震災関連死の中で誤嚥性肺炎が最多数だったことを知った。歯ブラシが無かったこと、水不足で飲み水を優先しなければいけない状況でうがいも出来なかったことで、口の中で増えた細菌が気道に入り込み、肺の中で増殖し炎症を起こしてしまったのだ。それ以外にも口の中の細菌は歯周病菌といって糖尿病を悪化させたり、動脈硬化を誘導し心臓病や脳卒中を起こしたり、妊婦さんの低体重児出産のリスクを高めたりと、全身に、しかも命に関わる影響を及ぼすことが分かっ
た。口腔内のケアは命を守るケアなのだ。
歯の役割についても考えた。歯はただ食べ物をかむ道具なだけではなく、消化や吸収を助けたり、食物に混入した異物を分けたり、発音をサポートしてくれる役割を持つ。スポーツをする時には奥歯をかみしめて力を発揮することもある。よくかむことで顔の筋肉が鍛えられ、表情豊かになるし、脳への血流が増えて認知症予防にもつながる。歯は人間らしいより良い豊かな生活を担っているのだと気が付いた。口腔ケアが命を守るケアならば、歯のケアは人生の彩りを守るケアなのだと私は思う。
これほど大切な役割を持つのに、永久歯は一生ものだ。失ったら二度と自分の歯は戻ってこない。以前、歯科検診で初期のむし歯を見つけてもらった。初めてのことでとても不安になり、「ドリルで削るのかな。痛いんじゃないかな。もっと気を付けて磨けば良かった。」と暗い気持ちになっていたが、初期だったので削らずに済んでとても安心した。そして正しい歯磨きの仕方を教えてもらい、毎日教えてもらった通りに歯磨きをしている。生えてきたばかりの永久歯を大事にしていきたいからだ。おかげでそれからは毎年「良い
歯の表彰」をもらえている。これからもずっと自分の未来のために、あの時の「もっと気を付けて磨けば良かった」という気持ちを忘れずに、毎日歯と口腔内のケアを続けようと思う。これから先もずっと食事を楽しんだり、スポーツをしたり、何より健康で笑顔でいるために。
早速我が家の防災セットに歯ブラシとデンタルリンスを入れた。
 

令和2年度「歯の作文」中学校最優秀作文

むし歯と感染症
調布市立第五中学校
2年 高林 花凜
 
 前代未聞の新型コロナウィルスの流行は、あらゆる事に大きな影響を及ぼした。体力低下やコロナうつといった健康問題が注目されているが、歯の健康も何らかの影響を受けているのではないだろうか。
このような疑問から、実際に外出自粛期間中に歯の健康に関する変化はあったのか調べてみようと思い、友達十五人に「外出自粛中にお菓子やスナックを食べる回数は増えましたか?」というアンケートをした。すると、「変わらない」「減った」と答えた人が二人だったのに対し、「増え
た」と答えた人が十三人と大多数を占めていた。
その背景として、外出自粛で行動が制限される中、手軽にできる楽しみとして、お菓子を作ったり食べたりする頻度が上がったことが挙げられるのではないだろうか。私も外出自粛中、お菓子を食べる回数が増えたと思う。
むし歯の原因であるミュータンス菌は、お菓子に多く含まれる糖をえさとするので、お菓子を食べる頻度が上がるとむし歯になるリスクも上がる。食後に毎回歯磨きをすればむし歯のリスクは抑えられるが、食べる頻度が上がれば上がるほど、毎回の歯磨きが面倒になるのが正直な気持ちだ。では、そんな私でもできる対策はあるのだろうか。
例えば、糖が少ないものに置き替えるのはどうだろう。歯に付きやすいキャラメルのようなお菓子をキシリトール入りのガムに変えてみたり、ジュースをお茶に変えるだけでもむし歯予防の効果はあるだろう。また、毎回の歯磨きが面倒なら、何回かはうがい薬などで強めに口をゆすぐだけでもかなり違うように思う。口内環境を守るには、小さな工夫をコツコツ続ける事が大切なのではないか。
私の父は、私が小さい頃から自分が箸や口をつけたものを私や母に分けたり、食べさせる事を一切しなかった。そのガードがあまりにも徹底されているので不思議に思い、なぜなのかを尋ねると、父は「むし歯がうつるからだよ」と教えてくれたが、まだ小さかった私には全く理解ができなかった。当時父の口には銀歯や黒ずんでいる歯がたくさんあり、痛そうにしていたり、治療で辛そうにしていたりする姿を今でも覚えている。でも、むし歯がうつるなんて信じられない。もし、風邪などと同じように感染するならば、どうして
ずっと一緒にいる私や母には感染していないのかと疑問に思っていると、母が「むし歯は唾液を介してうつるものなのよ」と教えてくれた。
むし歯は、ミュータンス菌が歯の表面を溶かすことで起こるので、唾液に含まれるミュータンス菌が健康な口の中、特にまだ菌を持っていない乳幼児の口の中に住み着いてしまうと、むし歯になる可能性が高くなってしまうということらしい。
このやりとりがあったのはずいぶん昔のことだが、新型コロナウィルスの感染が広まる中で飛沫感染という言葉を聞き、このことを思い出した。今、新型コロナウィルスの感染防止のために、同じ食器やコップに複数人が口をつけることは控えるように呼びかけられている。これはむし歯予防対策にも有効なのではないだろうか。
私は二年生になり、今年度も保健委員になることができた。学校の生徒の健康を守るサポートができるよう、新型コロナウィルスへの予防対策だけでなく、むし歯予防も含めた感染症対策を呼びかけ、それぞれに合った無理のない生活様式を新しく作り上げていきたい。